「うわー結構腫れてんね」
「ん…思いっきり当たっちゃって、」
指は想像以上に腫れていた。
痛々しくて自分でも目をそらしたくなってしまう。
「これちゃんと冷やした?」
「え?」
「…もしかして、なんっもしてねーの?」
「う、うん」
「阿呆か。なにボーッと座ってんの」
「え。わっ」
突然だった。
ぐい、と手首を引かれた。
椅子から私を立ち上がらせて手首を掴んだまま水道の方へ向かう。
桜田くんは水を流すと、私の手首を導いてその水につけた。
「……っ」
水はひやりと冷たいのに。
掴まれたままの手首だけ、やけに熱い。
これくらい自分でやれるけど…
それを告げられない。告げようと、思えない。
―反則だ、こんなの。
見てるだけで
想うだけで
良いと思ってたのに。
きっとそれだけじゃ、我慢できなくなってしまうよ。

