ガラリ。開いたドアに。
美月ちゃんがなにか言い忘れて戻ってきたんだと思って、顔をあげると
そこにいたのは
「……桜田、くん」
目を開いていかにも驚いている、桜田くんだった。
トクン。
その瞬間に心拍数は急上昇する。
「…どう、したの?」
「…白木さんこそ」
何故かお互いに、声が掠れていた。
私は緊張で。
桜田くんは…風邪 かな?
だったらここにいるのも説明つくし。
「…寝る?」
「え?」
「私、邪魔だったら…出るけど…」
「は?」
桜田くんはキョトン、としたあと。
「あー違ぇ違ぇ。具合悪いとかそんなんじゃないから。白木さんこそ具合とか悪いんじゃないの?」
「わ、私は…つき指しちゃっただけで」
「えっまじかよ。見せて」
“見せて”
その言い方に、どきりとした。
心配そうな言い方。
おずおずと半分無意識に、手を差し出す。

