Memorial address

病室は沈黙が続いた。
その沈黙を壊したのは
お父さんだった。
「虫の知らせだった。
お父さんと麗子がたまたま
うとうとした瞬間だったんだ。
急すぎたから
看護婦さんも呼べなかった」
その言葉を聞いたとき
もっと涙が溢れ出した。
「ゆかり…
ゆかりはようやってくれたな。
おばぁちゃん、
最後は痛いって言ってなかった」
痛いって言ってなかった??
あたしが聞きたいのは
そんな言葉なんかじゃない。
そんな言葉なんか聞きたくない。
よくやってくれたなんて
なんにもやってないよ。
毎日病院に来て
病室に座ってたぐらいで
なんにもやってないんだ。