ふと見ると、 宮岸さんは 手を挙げて、 流しのタクシーを 一台止めていた。 私の為らしい。 「もう20分ほどで 始発が出るんで 電車で帰れますよ!」 と、私は遠慮したが 和泉さんが 「いいから、乗ってくださいよ」 と言って タクシーチケットを 私の手に 半ば無理矢理、握らせた。