姫のさがしもの。



部屋に戻ると


「あ、これ栓抜きいるよなぁ。

俺、車に積んでるから
とってくるわ。


姫夏は、お酒とか
あっちの部屋のテーブルに
並べといてくれる?」



彼がそう言って指さしたのは

二間続きの隣の部屋。



さっきまで
抱き合っていた部屋は
畳の和室で

その奥に、
フローリングの

ダイニングテーブルが
置かれた部屋が
設置されている。



「あっちの部屋?」



「そう、あっち。」



…なんで?和室でも
いいんだけどな。

とか、思いつつ…
まぁ、いっか。


「うん、わかったー♪

用意しとくから
早く帰ってきてね☆」



なんだか、若奥様気分で、
『早く帰ってきてね』

なんて言ったことに、
自分で照れる私。



「うん、いってきます」


チュッとキスをして
部屋を出て行く彼を見ながら


ほんとに、
夫婦ごっこしてる
気分になった。