――今日は帰しませんよ
ってさっき彼は言ったけど
やっぱり
そういう意味だよね?
ラブホテルの一室。
シャワーを先に浴びた私は、
次にシャワーを
浴びにいった彼を
ベッドで待っている。
「ひゃっ…」
素っ頓狂な声を
挙げてしまったのは
彼がバスタオル一枚で
上半身を裸のまま
お風呂場から
こちらへ向かってきたから。
だって、今まで
彼は上半身すら
脱いだところを
見せたことがなくて。
私のことは脱がせるくせに
ずるいなって
思ってたぐらいで。
「なに?
俺の腹筋に
見とれた?」
ニヤッと笑う彼。
「うそ、腹筋じゃないじゃん。
これ、脂肪でしょ?」
ポンポンと彼のお腹をたたく私。
それから私は
彼に本音を漏らした。
「宮岸さんの裸…
初めて見たよ。
なんか…ドキドキするね(笑)」
照れながらそう言うと
宮岸さんは
少し真面目な顔をして
「俺が脱いだら
我慢できなくなると
思って、
ずっと脱がなかったもんなぁ。
…今日は我慢しないけど」
そう言って
ニヤッと笑った。
…え?え?
それってどういう…
「きゃっ…!」
