私は、目に涙を
いっぱい溜めながら

んふふふふ…って
気味の悪い笑い声を
あげちゃった。



だって、


嬉しくて、嬉しくて。



そしたら急に、
宮岸さんは
バッと立ち上がって

私に両手を差し出した。


意味がわからないまま
私がその手をとると



ふわり。



いきなり私の体は
宙に浮いた。



…と思ったら


そこは彼の腕の中。



彼は私を『お姫様だっこ』して、


私の耳元で囁いた。



「姫。今日は帰しませんよ」



そう言って、
お姫様だっこのまま
階段を降りていく彼。



「危ないよー。

私、重いからっっ!」



暴れる私を
彼はギュッと腕で
押さえつける。



「危ないからしっかり
捕まってて。

これでも空手の
有段者だからね。

姫を支える力ぐらい
あります」


そう言って
私を抱いたまま
力こぶを
ググッと出して見せた。


クスクス笑いながら
私は、宮岸王子の腕の中で

ふわりふわりと
地上に舞い降りていった。