―次の日


土曜日の朝9時。




目覚めると
宮岸さんの姿はもうなかった。



携帯電話を開くと
メールが一件。



『心配だけど、今日は
家に帰るよ。

苦しくなってないか?


俺、今日も出勤だけど

しんどくなったら
今日もとんで行くから

いつでも呼び出して



宮岸』




胸がジーンと
熱くなるのがわかる。



…そっか、宮岸さん
土曜日なのに今日も
仕事なんだ。

大変だな。


それなのに、
昨日も家まで来てくれて…




宮岸さんの優しさに
目頭が熱くなる。




以前、彼が言ったことば

―『お互い微妙な関係を
楽しんでいるんだから
これでいい』


…あの言葉は

今でも私の心に
ひっかかっていて。


彼が私を愛している
わけじゃないって…
わかってるけど


でも


この二日間で
気付いちゃったんだ。


私が求めているのは
栄太じゃない。


見返りが全然なくても

私、宮岸さんが好き…!


もしかしたら、
私以外の誰かが病にかかっても

彼は優しくして
いたかもしれない。


これは、私への
愛情じゃなくて

人としての優しさ、
もしかしたら単なる
同情かもしれない。


でも、それでもいい。




…やっぱり、私、

これ以上

宮岸さんを裏切るのは
やめよう…







栄太とは別れよう。