姫のさがしもの。



「…もしもし?

姫夏?

こんな時間に
病院って…

なにがあった?」



宮岸さんからの
電話だった。



「宮岸さん〜…!」


私はうれしさのあまり
号泣。



突然泣き出した私に
宮岸さんはびっくりしたようで


「どうした!?

しんどいんか??

今、家?」


と、心配そうな声を
電話越しにあげた。



「うん、家だよ。

さっき急に
頭痛と呼吸困難になって、
救急車呼んだの。

そしたら、過呼吸って
先生に言われて

早く帰って寝なさいって
さっき家に帰されたの。

でも、なんか不安で
ずっと苦しくて…」



私は泣きじゃくりながら、
さっきまでの経緯を
説明した。


しかし次の瞬間
ピタリと泣きやんだ。


「…あれ?宮岸さん…。

なんですぐに電話くれたの?
まだ起きてたの?」



宮岸さんは
急に泣きやんだ私に
ハハハと笑い、


「いや、今、会社。
仕事してた。

そしたら急に
姫夏からあんなメールが
きたから、びっくりしてさ。

もうオフィスも俺ひとりだし
ちょうど帰ろうかと
思ってたとこ。


…姫夏。

20分待てるか?」



「20分…?

うん…

電話かけ直してくれるの?」



「いや、今から
姫夏ん家いくわ。

タクシーでとばして
20分でいくから

しんどいだろうけど
少しだけ我慢しててくれな」



「宮岸さん…」



…信じられない!


明日も平日で
会社だっていうのに

徹夜で仕事して
またこれから
私の家に来てくれる…!?



「宮岸さん…

やっぱり悪いよ。

明日も会社だし
家に帰ってちょっとでも
寝た方がいいよ。」



宮岸さんの気持ちが
嬉しかったから

別に、来てくれなくても
もう不安じゃなくなる気がした。