姫のさがしもの。



―――「…過呼吸ですね」




お医者さんが
私に向かってそう言う。


…過呼吸?


そういえば、
もう息苦しくない。


頭痛は少し残っているけど
呼吸は正常に
戻っていた。



「ストレスですね。

仕事とか、
ストレスがたまると

たまに過呼吸を
引き起こします。

まぁ、夜中に突然
頭痛が起きて
びっくりして
過呼吸になったんでしょうね。」


淡々と医者は説明する。


「ストレス…?

過呼吸…?」



…とにかく、
重病ではないらしく、
それは一安心かな。


あとは、病院で
一晩寝かせてもらえたら、
直りそうな気がする…





「では、気をつけて
お帰りください」




…は?



医者の言葉に耳を疑う私。



「頭痛薬を少し
出しておきますから

どうぞお帰り下さい」



医者はそれから
後ろを向いて

カタカタとパソコンを打ち始め、
なにやら仕事の続きを
始めたようだ。

医者が小さくあくびを
したのを見逃さなかった。




…過呼吸ごときで
救急車なんて
使いやがって!っていうこと?


緊急の患者以外には
冷たいもんだ、
医者なんて…。



はぁ。


今、午前4時。

これからタクシー呼んで、
また帰るの?


眠れるかな。。。


不安。。。


また息苦しくなったら…