姫のさがしもの。



気を失いそう。


必死で携帯電話を掴む。


そして震える指先で打ち込む
1・1・9。



私は迷うことなく
人生初の救急車を
呼んでいた。





「どうされました!?」

受話器越しに
救急隊員の声。



「息が…息がく…苦しくて
頭が…頭がいた…い」


気絶しそうな
朦朧とした意識の中、
か細い声で
なんとか訴える。



…ここからは

どうやって自分の
住所を答えたのかすら
正直記憶は薄く、

ただ、誰かに助けてほしくて

必死で電話越しに
聞かれる質問に
答えた気がする。





電話が切れて
グッタリと倒れこむ私。




…はやく!

早くだれか助けて!
イタイよ!苦しいよ!




もがき苦しむこと
5分。





…ピンポーン



家のチャイムが
午前3時の静けさの中で、
鳴り響く。


私にとっては
救いのチャイム。



力を振り絞って
玄関まで這いながら進む。


ドアを開くと
救急隊員が2人。


「大丈夫ですか!?

運びます!!」


私は殆ど意識の無い
状態で、担架に乗せられ、


担架に横たわったまま
救急車に乗せられ

近くの病院まで
運ばれていった。