それからの私たちは
何事もなかったかのように
他愛のない話をした。
―最近あった面白い話。
―友人の話。
―家族の話。
―最近観た映画の話。
本当に、何事も
無かったかのように。
話は尽きず、
時々、お腹を抱えるほど
大笑いをしたり、
また、お互いの意見を
真剣に交わしたり、
私たちは時間も忘れて
一晩中、語り明かした。
「閉店時間です」
マスターが、
静かにそう言った。
「え…!?
あ、わかりました」
私はそう言いながら
店内に掛かっている
時計をチラリと見た。
なんと、
またもや午前5時。
…6時間近く
居座っていたみたい。
