姫のさがしもの。



和泉さんは
アハハハと笑い出した。



「いやいや、

僕もまだお姫様を

おうちに帰すつもりは
ありませんよ」



ほっ。



「ですから、

ダーツは終わりにして

カラオケにでも
行きませんか?」



和泉さんは
ニッコリ笑ってそう言った。




…和泉さんには

きっとお見通し
だったんだと思う。


私が疲れていること。

だけど、
帰りたくないってこと。


だから、ゆっくり座れる
カラオケを選んでくれたんだ。



この時の私は

そんな和泉さんの気遣いには
気付いていなかったけど。