姫のさがしもの。



「私は…

どうしても遠距離が
耐えられなくて、


せっかく帰って
きてくれた彼に、

ヒステリックになって…

いっつも泣きながら
責め立ててました」



和泉さんは少し
気の毒そうな顔をして

黙って頷いた。




「そんなある週末に

いつものように
私は彼に泣きながら

どうしようもない怒りをぶつけていたんですが…


彼が名古屋に帰る
間際になって

言ったんです。


『俺は、姫夏と
仲良くずっと
近くで一緒にいたい。


だから、
仕事は辞める』


…って。」




そう私が話すと

和泉さんは



「かっこいい彼ですね。

まだ若いから

まだまだ新しい仕事にも
就けますしね。」



と、言った。