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両軍とも残った者の数がさして変わらない中、戦争はオリジンの勝利に終わった。


オーディンの惜敗理由としては大将、並びに隊長など──あの金髪がいなくなったことが挙げられる。


その事実を戦争が終わり、しばらくして知ったロッシュが驚くのは、まだ先の話である。




国に帰った後、彼らを待っていたのは英雄として慕ってくれる国民たちだった。


あの戦いから共に帰ってきたやつらは、民の手厚い歓迎に胸を張って応えたり、照れた笑いを返したりと様々な反応だ。


そんな様子を、1人、オリジン軍敷地内にある高い建物──本来ならば敵の動きを上から観る──から見下ろし。


賑わう空気が離れた場所で、ロッシュはため息をついた。


「……俺、あそこに行ける気がしねえよ、フェン…」







オーディンという国名は、今はもうない。