剣をはじいた相手に驚きはしたが、これで心おきなく「いける」と充足感をもてたのは否めない。
「あんたが俺を刺すというならば俺はそれを全力で拒もう!
来いっ、誇り高き騎士よ!多くの命を守るその刃で俺を切り刻む前に、俺はあんたに打ち勝ってみせる!」
『誇り高き騎士』、そう自分を名指し宣言した彼はさしずめ──。
剣の押しつけ合いが、再び始まった。
知らずと手に力をこめていた。足場がぬかるみ始める、まずいかもしれない。
生まれるてくるのは淡い焦り。
過去の戦でもこんな天気に見舞われたが、あのときはほとんど、総団長と共に後方から観戦していただけだ。
おまけに、ここは土。
草は申し訳なさそうに生えている程度で、足場の役に立ちそうはない。
ついていない。
苛立ちから、ギリ、と歯を鳴らす。


