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しばらく沈黙を保っていた男だったが、納得したのかどうしたのか。
「………、ああ」
この一言からは計りがたい。
相手の目線は下にある。
じっと考えこむような空気をはらませるあたり、自分の話しがその中にあるのだろうか。
トドメを刺すのなら、今だ。
と。
『ポトン』
音がしたのは肩にある金属部分だ。
素直に周りを見れば、仲間と敵、ついでに邪魔な水滴。
(あーあ、とうとう降ってきやがったか。視界が悪くなってイライラするな)
見上げたのは、雨の発現場所、空。
小雨も嫌だが、こんな激しい雨はうんざりする。
このあたりの土にこびりついた血を洗い流すには最適だが、視界が悪くなって仕方ない。


