「目の前で大切な部下を無くしちゃえばやる気も出るだろうねぇ」
オーディンの兵が1人、こちらの兵を貫いた。
なるほど、下の者にやらせるのか。
「さっきので数は減ったけど、ここら一帯の奴らには丁度いい度合いかな。
こっちはこっちで殺戮を催そう」
フェンリルの後ろにいた部下がまた1人倒れた。オーディンの兵にやられたのだ。
彼らオーディン兵が『ここら一帯の奴ら』なのだろう。
はっと静かに息を吐いた。
自分の友、ロッシュがいたら、もうこの時点で激昂しているな。心中で静かに微笑。
それから、総団長を守るようにいたオリジン兵はどんどん減っていった。
オーディンの数が多いわけではない。
純粋に、実力の差があった。
ようやくといったところで、フェンにまで刃がかかる。
素早くそれを返し、叩く。
聞きたくもない賞賛ともとれるようなものが、フェンリルをさらに不快にさせた。
「戦いから離れたと聞いていたけど、ああ、良かった。まだ“殺し甲斐”がある腕前で安心したよ」


