先日にあった会議で、ロッシュにのみ伝えた『策』というタネがこの人物と言って問題ない。
「現段階、勝つのはオリジンだろうね。数は千減り、力も大幅にダウンしたオーディンに勝ち目はない。
どう?満足いく結果だろう。ミカキとの戦いがあってもやせ我慢までした来たんだ。
もう高らかに歓喜したらどうだい」
(…馬鹿馬鹿しい)
胡乱げに一度きり、やっと彼を視界に入れた。
これ以上口は開かないつもり、だったのに
「寡黙すぎてつまらないつまらない。でもまあ、その寡黙な奴の下にある感情を掘り起こしたらさぞや楽しいのだろうね」
「何が言いたい」
間をおかず問う。
ビギナーの言いたいことが分からなかった。
その至極楽しげな表情がしゃくにさわる。
不安が静かに広がった。
されど面には出さず、無表情を保持し続ける。


