衝撃のせいでせきこむ敵からは、戦意が感じられなかった。
男を飛ばしたちょうど真横に、先に飛ばされた剣が刺さっていたもんだから、いくらなんでも失敗したなー、とボンヤリ。
なんだか疲れてしまった。気合いを入れすぎたか、はしゃぎすぎたか。
どっちでもいい、とにかくこの息切れをどうにかしたい。
……こんな状況で上体をあげられたから、いくばくか焦って剣を握り直せば、また話しかけてきた。
反撃するつもりはないようで、剣はおろか、構えさえもとらない。
「何なんだ、騎士って……」
また、同じセリフ。
そんなにこの男にとっては重要なんだと思ってみた。
なら、馬鹿は馬鹿なりににちゃんと答えなくちゃな。
……ふと。考えをまとめる前にチラリと。こんな思いは、自分のどこから湧き上がってきたモノなんだ。
「……『騎士』っていうカタチは、人それぞれだと思うんだ。
…俺にとっての騎士ってのは、国を守り、仲間を守るモノ。…ただ敵を殺すようなクズなんかじゃねぇんだよ。
──うーんと……伝わった、か?」


