多くの時間を他人と過ごせば、それなりの情は生じる。
結果、失いたくないものになる。ならば自分で守るのが道理だ。
ロッシュはそう考えるのに、金髪の男は違ったふうであった。
ショックだったのか、頼りない表情。
「……ちが、う」
弱々しい声音で、何を否定したのか分からなかった。分かりたいとは思った。
霞んだ足取りで立ち上がる、相手。
そんな変わりように拍子ぬけした。
一体全体、どうしたのだ。
気にはなるが、オシャベリはいったん、休みにしよう。ここは、戦場。本来なら剣を使う場所だ。
走って、剣を男の頭めがけてやる。案の定また受け止められた。
一息ついて、もう一撃。
これは、受け流された。
こんなことされるのは珍しいので驚いたが、次の手を打たねばならない。


