「どうして他人を救える……!戦争なんだぞ、これは。殺すのは相手だけじゃなく、味方だって例外じゃない、のに、っ。
自分だけで手一杯のはずだ。そうじゃなきゃ、地べたを這う惨めで苦しい末路しかないってのに。己じゃなく、他人に目を向けたら最後。
目の前の剣に刺されるんだぞ!」
よくよく見れば、泣いていないのに。
そう見えてしまったのは、男がなんだか危うげだったからかもしれない。
それを短い間に考えあぐねて、言ってやった。
ロッシュにとっては当たり前の事実だった。
彼の先の言葉(当たり前)とは全く違う、信念だった。
「……他人の前に仲間──俺にとってなくしたくないもの、だから助けるんだ。お前にもそういう奴、1人2人居るだろう?」
特に戦の前後などは、部下たちと「ずっと」、と言っていいくらい一緒にいる。それはどこの軍も国も同じ。


