「大丈夫か? とりあえず、こっから離れろ。巻き込むぞ」
仲間の返事はなかった。
ただ首を上下にやり、最後にこちらへ振り返ると、別の敵へと切りかかって行くのを確認。
とりあえずは安心できた。
金髪はというと、剣を地面に突き立て、膝をついている。倒れそうな雰囲気だ。
静かに、ただ構えもせずいれば、
(…また何か言ってる)
男の目はさらに鋭いものへとなっていた。
正直に言うと、怖い。
けれど怖じ気づく訳にはいかなかったし、もうこの恐怖にも慣れがきそうだ。
男の目はもとからこんな鋭さだったと言い聞かせる。
だからこそ、笑えていたのに
「どうして……っ」
その一言で、笑顔が消えた。
ロッシュは男が泣いているのかと思ったのだ。


