これで動いたら、地面に這いつくばっている仲間が刺される。ロッシュは動かなかった。
男の攻撃は荒っぽいくせに重く、顔にしわを作ってしまうほどだ。
「なん、で……!」
金髪の男が、確かに、そう言った。
続けざまに「っ、くそ!」とも放つと思えば、一際大きく振るわれる剣。
反撃には充分な間だった。
砂を混じらせつつも剣を動かす。
今まで剣を振っていた中で、会心の出来と呼べる一撃だった。
しかし狙い通りにはいかない。相手の息をのむような表情とともに受け止められた。
その時、喜びなのか、絶望なのか。
自分でも分からないものが、ふと心をよぎった。
金髪はたたらを踏んでしまったようだが、受けられただけでもすごい。
その少しの時間に、片手で記憶にない仲間を立たせてやる。


