そう沈みこむ余裕は、今ない。
(追いかけっこか?馬と人で?…無理だろ、普通に考えて)
男を追うため、容赦なく彼は馬を走らせた。ただ、その先に死体置き場があるなんて、見ていなかったものだから。
「、やべえっ!」
バランスを、崩した。
人ならぬ肉を踏んだ馬は、地面を探し暴れる暴れる。
手綱を持ち、それをなだめようと踏ん張ったが、これを敵であるこの男が見逃すはずなかった。
「こ、の!」
男だと思われる声。
投げられた剣は、ロッシュではなく彼の乗っていた馬に刺さった。
馬は倒れ、先ほど失った部下同様落馬する。
彼は肉の上に足をつけた。
バランスは上手くとれていなかったが、足音が近づいてくる。反射的に剣を構え、3。
振り落とすための重心移動で2。
振り落として1、とカウント。
ゼロになると、相手から驚きの声がきけた。
どうやら、こちらが攻撃をするなんて予想していなかったようだ。
流さず、男はロッシュの剣をそのまま受け止めている。


