立っているのは馬には乗っていない男だ。
直感で、部下が言っていたヤツはコイツか、と判断する。
年は自分とさほど変わらないようで、意外にも若い。
加えて、戦争だというのにやけに軽装だったのと、金髪が目をひいた。
ロッシュの周りには金髪が数えるほどしかいないので、珍しく思ったのだ。
黒い防具を着ているのかと思うが、返り血。
見ていれば当然、目があった。
その勢いで一直線に敵へ突進、剣を振り上げる。なんのひねりもない動作だ。
今まで戦ってきたたいていの者は、これを防ぎ自滅していったのだが…この金髪は違った。
地面を転がり、よけた。
正解、とロッシュは胸中で独白する。
さっきのあれをまともに受け止めれば、腕から肩がどうにかなってしまう。
そのまま反撃かと身構えたが、男は予想外の行動にでてきた。
ロッシュに背を向け、走る。男の目前に現れた1人は斬られた。
また1人、消えた。


