騎士戦争



無慈悲に、無表情に、斬る。


どうしてこんなことが出来るのかと思うかもしれない。


ロッシュも、オリジンに入った頃はそう思い、考えていた。


だが、今ならば答えられる。


きちんとした答えとは言えないが、彼なりに、答えられる。


「……俺は、俺らは、互いに守るために…! 騎士としての、誇りを守るために、」


そうやってよそ見をしていたから、前から騒音がしたのだ。


まさか、と嫌な予感が巡ったのを、ロッシュは忘れられないだろう。


「おい!?」


それ、的中。


前を走っていたはずの部下が落馬していた。


守っていたはずのものが消えた。


足は骨折したのか、おかしな方向に曲がり、左腕には己の剣をめり込ませている。落ちた拍子に誤ったのだ。


そこを押さえ、うずくまる姿が語るのは、戦闘不能ということだ。