騎士戦争



ぼろぼろと落ちた己の声で、我に返る。


「あ、この辺でいいや。敵も来ないだろ」


すでにオリジン軍を抜けていて、振り返ればそれは数百メートルほど遠くへあった。


これでは、戦況がイマイチ分からない。


遠くが騒々しいなか、総団長の嘆息。


「ロッシュ、こんな所まで来てどうする」


「どうするって……あいつらには悪いけど、様子見」


「様子見? お前、守るんじゃなかったのか、部下たちを」


「……いつも戦に参加せず、見物してるだけのお前に言われたくないな」


こんなことをしたのは、先のセリフを忠実に実行するには少しの無理があると判断した、それだけだ。


「…相変わらず自分の発言には責任が持てないヤツだな」


「っ、でも被害は最小限に抑える自信はあるんだ!!」


ガキっぽく反抗したロッシュのこれを引き金に、言い争いが勃発した。