「敵を見たら剣を振るえよっ。斬るのは敵のみだ!ミカタ、斬るんじゃねえぞ。
友の姿が苦しそうなら助けてやれ! 俺は誰も失いたくない、自分の目の届く範囲のミカタは全部傷つけないつもりだ!!
お前らもそのつもりでのぞめ!!」
ミカキとの戦とは訳が違う。
彼の声の鋭さは、暗にそう語っていた。
兵たちは気圧されたのか、誰も応えない。
しかしまた、誰も動かなかった。
ロッシュは首を傾げる。
何か変なこと言ったか、俺。あれか、失言ってやつか?
…小さな不安をひねり潰すため、声をだした。
「全員、返事は!!」
ハッとした顔が、波のように広がった。そして、それもまた声に代わって返る。
「「お、オオォォオ!!」」
地響きのように広がっていく音。
フェンは自分の居場所を見失ったように錯覚した。
「そんでもって──」
ロッシュが調子にのって言葉ためれば、タイミングがずれた何人かの者は気合いの入った叫びをあげてしまう。


