「だから、ピリピリするようなこと言うなって! なんとなくだけど聞こえるんだよ」


「ほう…、やるか、オーディンに聞こえるくらいの大声で。兵たちの緊張もほぐれるだろう」


よく、冷静沈着と思われがちな彼だか、ロッシュ同様負けず嫌いである。


「よっしゃ! …一発目、俺が言っていい?」


「好きにしろ。私は大声を出す気は無い」


許可が出たその瞬間には、ロッシュは子供のように喜んでいた。


馬上にも関わらず、小さくハネるハネる。


ハネが終わったかと思えば、目一杯酸素を吸っていた。


彼らオリジン軍の雄叫びは「お前ら、よーく聞け!」と、何とも緊張感が欠けた出だし。


さすがロッシュと言ったところだ。


「ここで臆してるようなガキは、オリジンにいらねえ! 今すぐ来た道を戻ってこい!!」


何人かの兵士は、息をつめる。