ロッシュにつられたのか、軍の中では最も新米の多い部隊もが答えた。
数人の低めの声が重なる。
彼はこれが女だったら、俺ももう少し、やる気が出るんだけどな、とかすれた声でそちらを見た。
一方で、彼らのまとめ役は、別の隊からも思わぬ返事をもらいとても驚いていた。
しかし口を開くことはない。
次に開くとなれば、さしずめ敵が見えた時だろう。
フェンリルは軍の並びをもう一度、確認した。
ここまで来て間違えていたら、たまったものではない。
今回の軍の並びは、「相手が相手だ」とロッシュに言われたので、今までにない並びとなっている。
しかも、総団長は前線に出ることができない。
これもロッシュからの要望だった。
よって総団長。戦が始まったらこの場から逃れ、離れた場所から観戦することになっている。


