大嫌いだったお兄ちゃん

「…ふ…ふ…ひっく…」




あたしは道の端でうずくまって泣いていた




「なんで…泣いてんだよ…」




あたしは息をきらすその声のするほうを見上げた




「なんで…あんなこと言うんだよ…」




お兄ちゃんは冷たい目であたしを見下ろした




「だって…」




ダメ…お兄ちゃんを前にすると…言いたくなっちゃう…すべて…吐き出しちゃうよ…




「だって…?」




お兄ちゃんはそう言うとあたしの二の腕をつかみあたしを立たせた




「だって…翠を…ひっく…傷つけたくなくて…」




「傷つける…?どういうことだよ…」




「…ひっく…ふ…」




「礼…泣いてたらわからない…」




「…ひっく…ひっく…」