大学には、たくさんの学生がいる。

入学してから一言も声を交わさなかったり。

それならまだいい。

視線を合わせることもなく、卒業することだってあるだろう。




時間になると、今日もここは賑やかになる。


「あー、今日はなににすっかなー。」

そう言いながら、明仁はメニューとにらめっこしている。


またか。

コイツ、悩みだすとキリがないんだよなぁ。



「さっさと選べよ。時間なくなるぞ。」

そんな明仁を横目に、俺はオムライスのボタンを押す。

ここのデミグラスソースは美味い。
学食だからって、侮れないんだよな。


「ふーん、オムライスねぇ。カッコイイ爽やか男子がオムライスなんか食ってたら、女の子に“カワイイー♪”とか言われるんだろーな。」

「なにくだんねーこと言ってんだよ。だったら明仁もオムライスにすればいいだろ。」



俺は明仁の返事も待たずに、オムライスのボタンを押した。