神人

バースは教会の近くに建てられた神人の寮に来た。そして教えられていた部屋の前で立ち止まった。
この寮は主に教会に入って来た神子の為に造られた。だが家賃が安いのと、教会に近いので一流の神人もこの寮に多く住んでる。バースもその一人だ。
バースは部屋のドアを乱暴にノックする。ドアのプレートにはヘウ"ンと書いてある。
「おい、起きろ！任務に行くぞ！」
だが中から返事はない。
「まったく…」
バースは頭を掻き、少し後ろに下がって右足を腹の位置まで上げ、思いっきりドアを蹴飛ばした。
どおおん！
と凄い音を立て、木のドアは粉々になった。その音を聞いて他の部屋から人が出て来たが、それをバースは適当に払い部屋に出た。
中はまだ荷物がなく、あるのは鞄一つとベッドだけ。そのベッドに幸せそうに眠る一人――いや、一匹の猫が寝ていた。
「起きろって」
バースは猫を揺さぶり起こす。
「ん…」
その猫は目を開けまた閉じた。そしてカバッと飛び起きた。