「今さらそんな事思っても仕方ないよね…」
ヘウ"ンは扉の前に座った。バースは五年間何を思っていたんだろう。
「ん?」
お尻の下に違和感を覚え見てみると、黒い革表紙の分厚い本が一冊置かれていた。
「何でこんな所に…。バースが読んでたのかな」
ヘウ"ンは何気なくページをパラパラとめくり、最後のページに目が止まった。
そして書かれていた文書を声に出して読んだ。神書とも知らずに。
「人間界と魔国を隔てる扉消え去り、一つの世界に…」
その瞬間、夕刻に近付き暗くなり始めた森に光が溢れ、光をヘウ"ンの悲鳴が包む。