ジュリアがこちらに駆け寄って来る前に、バースはヘウ"ンをゆっくりと地面に寝かせた。
ごめん、と心の中で謝りながら。
「ヘウ"ンちゃん!」
ジュリアがヘウ"ンに呼び掛ける。
ジュリア、すまん。こいつ死なせてしまった。
バースは立ち上がり、男と対峙した。
「やる気のようだな。お前も王女と同じ場所に送ってやるよ」
その言葉を聞いた瞬間、いつもはふざけてばかりいるジュリアが、真剣に男を睨み殺すほどの目で見た。
睨まれた男は、一瞬怯え後ろに下がった。
バースはジュリアに手のひらを見せ、
「やめろ、ジュリア。お前はこいつに手を出すな」