神人

何が余裕だ。こっちは必死だ。
(傷を治す力も時間もねーな)
身体を気にしながらバースは立ち上がる。
(早く片付けて、あいつとオペラの所へ行かないと)
ヘウ"ンの事も気にかかる。
バースが神剣を構えた時、男がナイフを両手の指の間全てに挟んでいた。
男はニヤニヤと笑い、バースを見る。
「そろそろ退屈してきた。もう死ねよ。神人」
そして男が八本のナイフを一度に宙に投げた。
投げられたナイフは、宙で刃が下に向き、一気にバースに向かって落ちて来た。
「クソッ！」
力を振り絞りバースは、自分の周り全てに結界を張った。
莫大な力を注ぎ込まれた結界は、さきほどよりもとても強力になっている。
だが、結界を保ち続けるのも限界がある。
バースは崩れそうになる足を必死に踏ん張り、結界を張り続けた。