ビオラはしばらく何も言わず、静かに口を開いた。
「バースの考えてる事は分かった。でも、それならせめてジュリアが来るまで待って」
「それまで待てるか」
バースは椅子にかけられていた神人のコートを手に取り、無造作に着込む。
「いいか、ビオラ。すぐにオペラの所へ行け。いいな」
念を押しバースは部屋を飛び出した。
一人部屋に残されたビオラはゆっくりと立ち上がる。
「もう…失いたくないんだよね」
生徒を持つ神人にかかるプレッシャーはとても大きい。特に、辛い過去を持つ者は…。