「ど、どうした!?」
傷だらけの聖王子は痛いだろうが、華は抱き締めた。
「ありがとうございます…本当にありがとうございます」
「……」
聖王子は黙って華の頭を優しい手で撫でてくれた。
本当は死にたくなかった。聖王子を殺すなんて嫌だけど、死にたくない。お母さんとも約束したし、まだ皆と別れたくない。
聖王子はそんな華の全てを救ってくれた。
「華」
聖王子の言葉に見上げる。
「華、私の姫になってくれ」
その返事に華は、
「はい」
断る理由なんてない。聖王子は私の素敵な王子様だ。