「聖王子…私を…殺して下さい…」
「……」
その言葉に聖は何も言わず黙って華の言葉を待った。
「このままじゃ私は完全に鬼に支配されてしまいます。今は何とか力に抗っているけど、もう保ちません…。だから私の意識がある内に殺して下さい!!」
華の目からは大粒の涙がこぼれる。
華は怖いんだ。私を殺す事も、鬼になった事も、自分が死ぬ事も。
聖は溢れそうになる涙を拭き、刀を拾った。
「華、お前は死ななくていい」
「聖王子!」
華の翼がざわめき聖を攻撃しようとしている。鬼がまた華を取り込もうとしてるのだ。