そして…
あれから愛由の紹介があって,男子達はみんな目をハートにさせている。


隣の席の涼太と小声で話し掛けてみる。


「なぁ…
やっぱ愛由って
モテると思うか…?」


「じゃねーの?」


チラッとこちらを向き,また視線を戻す涼太。


「そっか…。」


そう呟き視線を前に移し替える。


「なに?
お前も愛由に惚れたか?」


ニヤニヤとした口元と俺を見つめる黒い瞳。


焦りを隠せない。


「知るかッ…!!」


投げやりに言い,視線を愛由が座っている席へと変えた。


「ふーん…。
お前もなんだ…。」


お前も…?


''も''ってなに?


「もってどーゆー意味?」


眉をしかめて,涼太を見つめてみる。


「このクラスの男子…
ほとんど愛由狙いだぜ?愛由の噂が広まればもっと愛由狙いが増える。」


愛由狙い…。


愛由に目線を変える。


愛由の周辺の男子達は,獲物を見つけた狼の様。


野生本能丸見えだ…。


俺は狼といっても過言でない…つまり,


肉食男子が苦手だ…。