戸惑いながら、大河原さんを見る。 大河原さんは、ゆっくりケータイを自分の横に置いた。 そして、大河原さんの顔が近づく。 『美鈴、どうした?』 ケータイから聞こえる、省吾の声に返事することができない。 唇を塞がれているから。 大河原さんの唇で。 大河原さんとの初めてのキス。 突然の行為に驚いて、声も出なかった。 ゆっくり唇が離れる。 「大河原さっ・・」 「しっ、黙って」 「んっ」 しばらく、大河原さんのキスに酔いしれた。 ケータイの存在も忘れて。