小さい頃、俺は愛を捨てた。


“愛は人を裏切る。愛すことなんてしてはいけない”


家族写真を破りながら言う母を見て、思ったんだ。


誰も愛さない。


2度と、写真は撮らないと。



でも、高校生のとき。


俺は1つの本と出会った。


漫画を買う為に行った書店で、風景が表紙となっている写真集を見つけた。


衝撃的だった。


大嫌いな写真に、吸い込まれたんだ。


なぜか心が和んだ。


思わず、買ってしまった。


俺も、こんな写真を撮りたいって思ったんだ。


“愛は人を裏切る”


なら、風景はどうだろう?


風景は、自然の恵みだから裏切らないんじゃないだろうか?