「俺、その人から奪っちゃおうかな」
「・・・っ!!」
何てことを言うんだろう。
「ねぇ、美鈴ちゃん。俺、その人から美鈴ちゃんを奪っていい?」
妖艶に微笑む顔が近づく。
もうダメ・・っ
歯止めがきかない。
“いいよ”
そう言おうとしたとき。
カシャッ
初めて、シャッター音を聞いた。
「美鈴ちゃん綺麗。誘惑してるような顔だな」
大河原さんの方が絶対誘惑してるよ。
「好きな人にも、そんな顔してるの?」
顎を持ち上げられ、覗きこまれた。
「・・っ!!大河原さっ・・」
顔がどんどん近いてくる。
「俺以外に、そんな顔するの?」
心臓は加速してるし、喉が熱い。
ううん、全身が熱を帯びてる。

