「何ですって!!」


応接室で浅田から、これまでのいきさつを聞くと、思った通りのリアクションを見せる木村。


(そりゃ驚くよな……
ヘタすりゃあん時に死んでたかもしれなかったし……)


さすがにクシャミで死にかけた件を浅田が話す事は無かったが、それでも木村にとってはかなりショッキングな話だった事は確実である。


浅田は、なるべく木村を刺激しないように誠心誠意謝罪の言葉を述べた。


「本当に木村さんには申し訳ない事をしました。私共としては、今回のオペに関する木村さんの健康状態について、万全の保障をすると共に、出来うる限りの誠意を見せたいと思っています!」


「誠意?」


『誠意』という言葉を聞いて、木村の口元がわずかに弛んだのを見た浅田は、何ともいえない嫌な予感がした。


「誠意というと?」


気のせいか、木村の態度が急に大きくなったように感じる。


(三百で納得するかな?……コイツ……)


三百というのは、あくまでチーム内で了解を取った金額である。そして、既に銀行が閉まっていた為に今この場所には現金は無い。


浅田は、少し不安になりながら、右手の三本の指を伸ばしてテーブルの上に差し出した。


「我々の相場としましては、この位が妥当かと……」