話し合いの結果、用意する金額は三百万円。


(まぁ、後遺症の残る医療ミスでは無いし……この位が妥当なところか……)


まもなく麻酔が切れるであろう木村を待ちながら、交渉役の浅田は応接室で木村にするこの後の説明の文言を考えていた。



やがて、麻酔もすっかり抜け……木村が目を覚ました。


「いや~よく寝た!」


自分が眠っていた間に起こった事など何も知らない木村は、呑気に両手を上に上げて伸びをする。


「あの……木村さん?」


いつの間にか側に立っていた内科医の山下に少し驚く木村。


「あっ、すいません!
俺、勝手にこんな所で眠ってしまって」


「いやいや、どうかお気になさらずに!……ところで木村さん。ちょっとお話ししたい事があるんですが……」


「はぁ…何でしょうか?」