まあこの際誰でもいっか。
とにかくこのままじゃいけないのは確かだし。

そう思い立ち上がった私の手を
誰かが力強く掴んだ。

「何処いくつもり?」

突然ふった声と掴まれた手に驚いた私は
何故か身構えてしまっていた。

「そんな警戒しないでよ。それよりこんな
時間に女の子が一人何やってるの?」

「...別に」

-...あ、しまった。
素直に言えばいいじゃん、私


「あっそ...だったらいいや」

男はそういうと不気味に笑みをこぼして
うつむく私に背を向けた。

-....あ、ちょっと

「あの、傘が無くて…帰れないの」

私の言葉に男は振り向くとポケットから
鍵を取り出した。

-....車の…鍵?

もしかして乗せてってくれるとか…?