「逃げるの…?」 いつもより少し低い声が、彼の心境を表しているようで…。 あたしは何も言えずに岩崎輝の足元を見ていた。 「つばさちゃん。」 「……っ」 「つばさちゃん。」 全く返事をしないあたしに痺れを切らしたのかあたしの顔を無理やりあげさせた。 「俺の目を見て…。」 「………」 それにさえ応えず、目を反らすあたし。 「はぁ…。」 岩崎輝は小さくため息をついてあたしの顔から手を放した。