「さあ、乗った乗った。」 半押し込まれる感じで真っ黒な車の中に入った。 隣にはなぜか岩崎輝。 「もう、つばさちゃんったらせっかく目の前に車止めたのにいきなり走って逃げちゃうから。慌てて、輝に探してもらったのよ?」 運転をしている香織さんはミラー越しにあたしを見る。 「すみません。なんか怖くなってしまって…。」 「怖い?」 「はい、なんていうか…拉致されそうっていうか。」 「………」 「ぶっ。」 笑ったのは香織さんではなく、岩崎輝。