「…あ、翼ちゃん…良かった。早く、撮影始まるって」 ちょっと焦ったように柏木さんが急かす。 「………」 「翼ちゃん?」 その場からまったく動かないあたしに柏木さんは不思議そうに覗き込んできた。 「あ、あの…」 「ん?どうしたの?」 あたしの異変に気づいたのか撮影があるのに、急かすのを止めてあたしの話に耳を傾けてくれた。 「…迷惑なことは分かってます。しばらく、お仕事を休ませてください。」